患者さんの生活を考えた治療

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優デンタルクリニック 院長 木下です。
(全国介護歯科協会)

私が歯科医師になったばかりのころ、ご高齢や有病者の方が多く受診される
総合病院の歯科を見学させていただく機会がありました。


その時、定期検診にいらした患者さんの入れ歯を見て私は不思議に思いました。
ない歯の本数に対してバネの数がとても少ない入れ歯でした。

『これだったら、こことあそこにバネをつけた方がしっかりするのになぁ・・・』

なんて思っていた私に担当の先生が教えてくださいました。

「あの方はパーキンソン病なんだよ。
でも、できるだけ自分のことは自分でしたいということでこういう形なんだよ。」

パーキンソン病の方は指先を思うように動かすのが困難なことがあります。

なるほど!!

歯科医師になりたてで教科書でガチガチだった私の頭を
その先生の言葉が柔らかくしてくれました。


確かに私が思うバネの数を使った入れ歯を作ってしまえば
外れにくくはなるでしょうがご自身で外すことが難しくなってしまいます。

そうすれば誰かに外してもらわなくてはなりませんし、
それを申し訳なく思ったり、いやだと思えば
入れっぱなしになって口腔環境が悪化してしまします。

私にとって、とても貴重な体験でした。


それから随分と時が経ち・・・
訪問診療を通して
私もご高齢や有病者の方の治療をさせていただく機会が多くなりました。

あの時の経験を生かし、今私が常に心に思っていることは

口の中だけでなく、その方の持っている疾患はもちろん
背後の生活環境を考えた歯科治療を行う努力をする

ということです。


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